手縫い

夏の終わりに



毎年夏になると思い出すこと。

随分昔になりますが…
生徒たちと一緒に自分で浴衣を手縫いしたことがありました。
もちろん家庭科の先生にご指導をいただきながらゆっくりと…。
自分が選んだ反物が浴衣になって着ることができるなんて、夢のようです。

いろいろなパーツがあり、自分のサイズに合わせて裁断していく時は緊張したものです。
袂のカーブを縫うだけでも曲線の難しさに、汗が出ました。
その上、襟付けとなると立体的になるのでさらに高度な技術や調整(あくまで私にとって)が必要で先に進めないのではないかと思いました。

洋服はいつもミシンで縫っていましたが、手縫いの微調整が面白くもその難しさに打ちのめされた感じです。
こつこつと縫い進める生徒たちの姿に励まされ、少しずつ進めてはいきましたが、手縫いの気の遠くなりそうな進み具合と仕事の忙しさも相まって、しばらく放置することに…。


何とその間に、先生は私のものを見本にし生徒たちに指導されたようです。
気力を奮い立たせ、再び取り掛かった時には最後の仕上げだけが残されていました。

さりげない先生の配慮と、自分の不甲斐なさに忘れられない手縫いの浴衣となりました。


今となっては、手も目もおぼつかずとても手掛けようとは思いません。当時やりたいと思い手掛けたこと、生徒と一緒に制作した時間は大きな財産です。

少しでもやってみたいと思うことは、
躊躇せず行動していきたいと思います。結果を求めずそのことを純粋に楽しむということを味わっていきます。