季節の衣

季節の移ろい



着物は季節によって着られる種類が決められています。

この7月、8月に着ることができるのが『薄物(うすもの)』です。
『絽』『紗』と言われる織り目が粗く、薄くて透け感がある着物のことです。軽くて風を通し、真夏でも涼しくて気持ちよくいられるものです。

その前後の6月、9月は裏地のない『単衣(ひとえ)』10月から5月は裏地のある『袷(あわせ)』を着るという基本的なルールがあります。


コロナ禍になってから着物を着る機会が減り、すっかりしまったままになっています。風を通そうと広げてみました。

この夏の季節しか着ることができない『絽』の着物。久しぶりに着付けるとしたら、きっと手順にまごつき暑さも手伝って汗だくになることでしょう。

何事も続けていないと感覚を忘れてしまい、スムーズにいかず自分に合った調整もうまくできなくなります。自分にとっての良い加減すらしっくりいかなくなるのです。


以前、この着物を着てあるイベントでお客様にお茶を点てたことがありました。もう緊張で冷や汗をかいて何とか役目を終えたのでした。まさに『●失敗してはいけない』というパターンで行動した出来事は今も忘れられません。

涼しいはずの『絽』の着物。
何故か汗をかくことしか思い浮かびません。


一見窮屈そうに見える着物ですが、着た時のあの背筋が伸びる気持ち良さを、思い出しました。

今年は久しぶりにこの着物を着て、涼しく過ごしてみたいものです。