サイレンの響き



目の前を消防車がサイレンを鳴らして走っていきました。


この音を聞くと思い出す光景があります。
子ども頃、近所の家が火事になりました。夜中のことで、メリメリという音がしてかなり火が回ってから周囲の人がやっと気づきました。

大きな声で「火事ですよ!」と叫ぶ声が飛び交い、ゴーっという音とオレンジの炎に包まれて、熱風や火の粉が飛んできました。


低学年だった私はランドセルだけを持ち少し先の家に避難しました。

その間何十台も消防車が駆けつけ、サイレンが響き渡りました。
その音を聞くたびに炎の物凄さが蘇り、もう怖くて体は震えずっと耳を塞いたのです。


それ以来何十年とこのサイレンの音が怖くて、体が震えました。
音が聞きえないように、耳を塞ぎ体を縮こませて小さくなって耐えている私を優しく抱きしめてあげたいです。



よその御宅で、何も言えず、孤独と恐怖に耐えていた。そんな気持ちもゆっくり聞いてあげることにします。