過去

聞いてほしい



話をしていて、あれこれアドバイスしてもらうことがあります。でもその時の私はただ聞いてもらいたかっただけでした。

そう思っていると、目の前に子どもの頃の自分が出てきて泣いています。
辛い思いをしたことを誰にも話すことができずにいました。

悩んだ末に母に話そうと近づいた時、「そんな子はうちの子ではない。」と家族で話しているのが聞こえました。
起きたことを正直に話すと、自分はこの家に居られなくなる。そう思った私はもう何も言えなくなりました。


心の中にいたその子が今、目の前に出てきて泣いています。もう何十年も前のことですが、その情景は色褪せずにそのままそこにあります。

話を聞いて欲しいと近づいてきた子どもの頃の自分を抱きしめて、話を聴くことにしました。心の中の奥にずっと押し込んでいたその思いが、やっと今出てきてくれたのです。

誰にも言えなかった、ちゃんと聞いてもらえなかったことを、ぽつりぽつりと話始め、どんなにか辛く怖い思いをしたのかを知ることができました。やっと話すことができた安心感でその子は私の膝の上で眠ってしまいました。

これからは、どんな話もいつでも聴くよ。私がしっかり守っていくからね。もう大丈夫だよ。
やってみたいことを一緒にいろいろやっていくこともできるんだよ。そう体を摩りながら話しかけました。

今までそのままにしていたことを謝りました。
これからしばらくは、その子と一緒に過ごしていきます。満足のいくまで、たくさん話を聞いてたくさん遊ぼうと思います。