偶然の出会い



偶然目にした『こころめぐり逢い』という番組。二胡奏者のジャー・パンファンさんとギタリストの中村圭之介さんが日本の匠を訪ねる旅番組です。

製硯師・青柳貴史さんを訪ねていました。子どもの頃から硯に囲まれ16歳から本格的に硯の製作、復元などを手掛けており、夏目漱石の硯を修理・復刻したとして知られています。

こよなく石を愛し、お気に入りの石を求め全国はもとより果ては中国までも足を運んでいます。その楽しそうな様子を以前拝見したことがありました。

今回、机の上にとても大きな丸い硯を置き、3人がそれぞれ墨を持ち同じ硯で磨り合うのです。その光景が新鮮で、融合した墨で書くことはとても魅力的。ぜひ味わってみたいものです。

青柳さんは硯を製作するにあたって、「1万個違うものを作ることより、1万個同じものを作ることを大事にしている。そこからまた新たなものが生まれてくる。」と話しました。

石を愛し、硯を愛する青柳さんの仕事に向き合う気持ちが感じられました。年月を重ねてきたからこそ生まれた言葉なのでしょう。


最後に青柳さんへお2人から二胡とギターの美しい演奏が披露されました。
back numberの[手紙]です。
深い音と弦楽器の共鳴が素敵で、歌詞を思い浮かべ聴いていると涙が溢れてきました。
偶然出会った番組によって、良い時間を過ごすことができました。


そして、私は書道の世界の中で作品を書くことよりも、こうして文房四宝(筆・墨・硯・紙)の魅力を感じたり、伝えていくことが好きなのだとわかりました。


龍の硯 硯の中の文字見えますか?
龍の硯 硯の中の文字見えますか?