母とともに



実家の庭に色とりどりの花が咲いています。

何年も前から大事に育てている山野草のクマガイソウやアツモリソウは近所の方々が珍しいと毎年見に訪れます。

今盛んに咲きほこる牡丹は赤・白・クリーム色・牡丹色・ピンクと彩り豊かに大きく開いています。この牡丹が終わるとまもなく梅雨が来る、ということを知らせています。

芍薬や躑躅も上品な香りを漂わせて、風格さえ感じさせます。
高い場所にライラックが涼しげに揺れ、足元に露草が伸び伸びと茂っています。


私が実家に行くと、待ち構えたように母が庭に出ています。家に入る前に庭の花々を説明してくれます。
この時期は数日とも言えません。日々花が咲き、葉が茂って勢いを感じます。1日増しに変わる景色のその一瞬を一緒に楽しみたいと待っていました。

それぞれの持つ花の香りを、繊細な香りを比べながら眺める時間が楽しいです。


庭にいる母は、にこやかで楽しそうです。こうして、花を愛でたり葉を摘んで食したり季節を感じながらの生活を何十年も繰り返してきたのです。
実がたくさん取れた梅や柿の木はもうありません。子どもたちが木登りをしたことが忘れられないようです。

庭での思い出は細やかに覚えています。家の中で、あれこれを忘れてしまって困っている母とは違うのびのびした様子です。
これからも、また一緒に庭を眺める時間を大切にしようと思います。



    どんどん増える アツモリソウ
    どんどん増える アツモリソウ