体験

違いを知る



紙にはたくさんの種類があります。

書道の用紙についても数えきれないほどの種類があります。
一見同じように見えても、手触り、目の細やかさ、筆運び、滲みやすさ、光沢、厚さ、製法(手漉き等)、それぞれです。

紙の質感の違いは、例えばザラザラの新聞紙に書くのと、ツルツルの写真用光沢紙に書くような違いです。
もちろん書き心地が違うのですが、人によっては紙が違うと筆使いが変わってしまいます。質の違いで思うように書くことができないからです。
真の実力を知るためには、いろいろな用紙を使いこなせるか。ということになるのかもしれません。

そして同じように書いても、紙の引っかかり(抵抗感・摩擦)により感触や書き振りが違います。それを生かしてあえて紙を選びタッチを楽しんだり、その効果を狙ったりもします。


よく『弘法筆を選ばず』と言いますが、私は紙も筆も選びます。

自分が思うように書くにはどんな紙を選んだら良いのか、試しながら選ぶのが面白いです。
そのためには紙・筆・墨・硯・天気・調子などそれぞれを選んでその組み合わせを楽しんでいきます。それがまた書の醍醐味なのかもしれません。


紙は水分を吸収するので、天気によって振ってみると音が違います。湿度の低いこの季節はパリパリと高い音がします。雨の日などは逆にしっとりして音はしなくなります。
学生時代梅雨になると、むし暑い中でもヒーターをつけて紙を乾燥させて使ったものでした。

そんな特徴を持った紙に囲まれ、今日はどんな紙を体験してもらおうかと、お稽古に向けて準備をしています。

違いを感じてもらえることも、書を学ぶ喜びのひとつだと思うのです。



ほんの一部  1箱はみな同じ1000枚
ほんの一部  1箱はみな同じ1000枚