知らないこととはいえ…



エーデルワイスに似た花を見かけました。その途端胸がギュッと痛みました。

中学生の頃、グランドの整備の日があり、全校生徒でいろいろな作業をし、
私の班の担当は校舎側の草むしりでした。鬱蒼とした場所には、取りきれないほどの草が生え時間内に終わらせようと必死に草をむしりました。

まもなく終わると思った頃、悲鳴にも似た理科の先生の叫び声が背中から聞こえてきました。
「何をしているの⁈」「もうここはいいからやめて!」

綺麗に草をむしったその場所を追いやられた私たちは、訳がわかりません。
ただその先生の青ざめた顔だけが、気がかりでした。


後日その先生のところに、理由を聞きに行きました。
「あそこには大事に育てていたエーデルワイスが咲いていたのよ!あなた達
は知らないんだものね。何も言わない私が悪いのよ…」

そうだったのですね。申し訳ないことをしました。
綺麗さっぱりむしってしまった自分達の行動が頑張りから後悔に変わった瞬間でした。

知らないこととはいえ、そんな大事な花をだいなしにしてしまい、先生にお詫びしました。
そのことをきっかけにその花への思い入れや、他の植物・生物に関わるお話を聞き、厳しく近寄りがたい存在だった先生でしたが少し身近に感じた気がしました。

当時、サウンドオブミュージックの挿入歌『エーデルワイス』の歌を英語で歌う授業があり、その曲を聞く度に、このことを思い出していました。


そして今日、エーデルワイスに似た花を見てまたこの事を思い出しました。

あの時、先生は何も言わなかったけれど、大事に育てた花をむしられて、どんな思いだったのでしょう。
あの時の青ざめた先生の顔が忘れられず、今思い出しても胸が痛みます。

その思いが湧きあがった今、じっくりケアしていきます。