忘れるということ
物事を忘れてしまうと焦ってしまいます。
大事なことができなくなるし、予定通りに進めなくなるし、相手に迷惑をかけてしまう。と思うからです。
そうなると…信用を失ってしまうと思うし、できない人間だと思われるし、情けなくて苦しい思いでいっぱいになります。
とにかく、「忘れる」ということは良くないこと。できればしたくないこと。自分の周りには存在して欲しくないこと。とパターンは思っています。
そして、そうならないために、緊張して生活したり何度も何度も確認をしています。
最近は「忘れる」ことが増えてきました。最初は恥ずかしかったり、落ち込んでいましたが回を重ねることで慣れてしまいました。
今では忘れた時はそこから対応を考えていけば良いと思っています。
この「忘れる」ことで良かった点があります。
私は辛いことや、悩ましい事があると落ち込んでしまい、以前は2週間以上の間苦しんで、眠れない・食べられない・胸が苦しい・泣いてばかりで辛い日々を過ごしていました。
ところが、最近はそんな出来事を時々忘れるようになり、苦しい思いが続かなくなりました。
思いがけないことですが、お陰で苦しさから解放され、軽さを感じて過ごすことができるようになってきたのです。
私の友人は介護施設を経営していますが、「認知症は幸せ症だと思う」と言います。
「物事をだんだんと忘れていき、人生の辛かったことも忘れ、ただ今を生きている。ひなたぼっこしながら、穏やかに今の幸せを感じて笑って過ごしている方が多い。いろいろ苦労してきたからこそ最後は笑ってほしい。」と。
もちろん全ての方がそうではありませんが、「忘れる」ということはそんなに怖いことではないのだと教えていただきました。
認知症についての理解や友人の思いを知り、「忘れる」ことについて意味づけを増やすことができました。
このことは忘れずにいたいと思います。