趣味のもの

線から面へ




友人は機織りが趣味です。

お気に入りの糸を選び、縦糸と横糸を組み合わせて織っていきます。
この縦糸と横糸の組み合わせでいろいろな表情が現れるところが面白いそうです。

作品展を見に行きました。ひとそれぞれで、同じ機織りでも手の加減で個性が出ます。
(写真の物は、空の水色と夕焼けの茜色のグラデーションのマフラー)

これとは別に、肌が弱くウールは苦手な私に、真綿から糸を紡ぎマフラーを織ってくれました。初めての柔らかい肌触りと友人の思いも相まって、ふんわり暖かい私のお気に入りです。

友人は『自分で着る物を、自分で織り仕上げたい。』
そんな思いから、絹糸を紡ぎ、糸を染め、反物を織り、お着物を仕立てました。

どれだけ手間と時間をかけたことでしょう。本当に気の遠くなる作業です。
何度か諦めかけたそうですが、手がけたからには…とついに最後までやり遂げたのです。

見事な仕上がりに、物静かな友人の内に秘めた情熱を感じました。そしてそれを着た友人の姿が思い浮かびます。本当に似合うと思いました。

こつこつと3年かけて仕上げた思いと、素敵なお着物。かけがえのないものを見せていただきました。